2024年 6月12日 : 南大阪法律事務所 弁護士:西川 大史 急増するカスタマーハラスメント(カスハラ)被害企業のカスハラ対策 待ったなし! サービス業の従業員の約5割がカスハラ被害 労働組合の調査によれば、サービス業の従業員の46.8%がカスタマーハラスメント(カスハラ)の被害を受けているとの報道がありました。顧客からの暴言が最も多いカスハラのようです。 カスハラとは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。」と定義されます。 サービス業の従業員の2人に1人がカスハラ被害を受けているというアンケート結果は、衝撃でした。 ▶︎カスタマーハラスメント(カスハラ)について▶︎客からのクレーム これってカスハラ?▶︎飲食店でのクレーム これってカスハラ? 企業のカスハラ対策 約4割「特に対策していない」 企業のカスハラ対策について、「あなたの企業で実施されている対策」との質問に対して、「特に対策していない」が42.2%とのことです。カスハラが社会問題となる中、約4割の企業がカスハラ対策をしていないというのも驚きです。 カスハラの加害者となりうるのは顧客や取引先だけではありません。事業主もカスハラ対策を怠れば、従業員に対して損害賠償責任を負うことにもなります。 ▶︎カスタマーハラスメント(カスハラ)と企業の責任 カスハラから部下を守らなかった上司の責任を認めた裁判例 カスハラについては、厚生労働省のいわゆるパワハラ指針(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf)では、事業主が対策を講じることが望ましい取組みにとどまっていますが、カスハラから部下を守らずに誤った対応を行った上司の行為がパワーハラスメントと認定された裁判例(甲府地裁平成30年11月13日)があります。 小学校の教員が児童宅の飼い犬に噛まれて負傷し、教員の家族が補償を求めるような意向を示したとして、児童の家族が「地域の人に教師が損害賠償を求めるとは何事か」などと非難し、教員に謝罪を求めました。学校長は、保護者の意向に従い、教員に謝罪するよう指示したため、教員は謝罪を余儀なくされました。 判決は、保護者から理不尽な言動を受けたことに対して、校長が事実関係を冷静に判断して的確に対応することなく、その場を穏便に収めるために教員に対して保護者に謝罪するよう求めたことは、教員に対するパワハラであると判断しました。 カスハラに対して、とりあえずその場を穏便に収めるために従業員に謝罪させるという対応をとっている企業は少なくないのではないでしょうか。カスハラ対策としては不十分、不適切ですので、注意が必要です。 企業は早急にカスハラ対策を! 早急なカスハラ対策は不可欠です。カスハラ対策を怠れば、企業が損害賠償責任を負うこともありますし、企業の信用を失墜することにもなりかねません。 当事務所では、カスハラをはじめとするさまざまなハラスメント対応についてのご依頼をいただいています。カスハラ対策マニュアルなどの策定・チェックもしています。カスハラ対策についてご検討されている企業・事業主の方はお気軽にご相談ください。 南大阪法律事務所 弁護士:西川 大史 昔の借金の督促状-その借金は返さなくてもいいかもしれません! 弁護士コラム一覧 増加する離婚相談
サービス業の従業員の約5割がカスハラ被害
労働組合の調査によれば、サービス業の従業員の46.8%がカスタマーハラスメント(カスハラ)の被害を受けているとの報道がありました。顧客からの暴言が最も多いカスハラのようです。
カスハラとは、「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの。」と定義されます。
サービス業の従業員の2人に1人がカスハラ被害を受けているというアンケート結果は、衝撃でした。
▶︎カスタマーハラスメント(カスハラ)について
▶︎客からのクレーム これってカスハラ?
▶︎飲食店でのクレーム これってカスハラ?
企業のカスハラ対策 約4割「特に対策していない」
企業のカスハラ対策について、「あなたの企業で実施されている対策」との質問に対して、「特に対策していない」が42.2%とのことです。カスハラが社会問題となる中、約4割の企業がカスハラ対策をしていないというのも驚きです。
カスハラの加害者となりうるのは顧客や取引先だけではありません。事業主もカスハラ対策を怠れば、従業員に対して損害賠償責任を負うことにもなります。
▶︎カスタマーハラスメント(カスハラ)と企業の責任
カスハラから部下を守らなかった上司の責任を認めた裁判例
カスハラについては、厚生労働省のいわゆるパワハラ指針(「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」(https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000605661.pdf)では、事業主が対策を講じることが望ましい取組みにとどまっていますが、カスハラから部下を守らずに誤った対応を行った上司の行為がパワーハラスメントと認定された裁判例(甲府地裁平成30年11月13日)があります。
小学校の教員が児童宅の飼い犬に噛まれて負傷し、教員の家族が補償を求めるような意向を示したとして、児童の家族が「地域の人に教師が損害賠償を求めるとは何事か」などと非難し、教員に謝罪を求めました。学校長は、保護者の意向に従い、教員に謝罪するよう指示したため、教員は謝罪を余儀なくされました。
判決は、保護者から理不尽な言動を受けたことに対して、校長が事実関係を冷静に判断して的確に対応することなく、その場を穏便に収めるために教員に対して保護者に謝罪するよう求めたことは、教員に対するパワハラであると判断しました。
カスハラに対して、とりあえずその場を穏便に収めるために従業員に謝罪させるという対応をとっている企業は少なくないのではないでしょうか。カスハラ対策としては不十分、不適切ですので、注意が必要です。
企業は早急にカスハラ対策を!
早急なカスハラ対策は不可欠です。カスハラ対策を怠れば、企業が損害賠償責任を負うこともありますし、企業の信用を失墜することにもなりかねません。
当事務所では、カスハラをはじめとするさまざまなハラスメント対応についてのご依頼をいただいています。カスハラ対策マニュアルなどの策定・チェックもしています。カスハラ対策についてご検討されている企業・事業主の方はお気軽にご相談ください。
南大阪法律事務所 弁護士:西川 大史