新型コロナウイルスに関する労働相談 事例掲載日:2020年 4月9日 Q 1:新型コロナウイルスと賃金(給料)・休業手当 質問・概要 新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、会社が休みになりました。 会社が休みになっている間、給料や休業手当は支払ってもらえないのでしょうか。 解答・対応 会社が休みになった場合の給料や休業手当が支払われるかどうかは、 1.会社に故意や過失などがあれば、100%の賃金を請求することができる 2.会社に故意、過失がなくても、会社の不可抗力でなければ、60%以上の休業手当を請求することができる 3.会社の不可抗力による場合には、労働者は賃金・休業手当を請求することができない ということになります。 以降のQ&Aで、できるだけわかりやすく解答しておりますので、該当される事例をご覧ください。 民法536条2項は、「債権者の責に帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。」と定めています。すなわち、 会社の責任によって仕事ができなくなったときは、労働者は会社に給料全額を請求することができるということです。 また、労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めています。すなわち、 会社の責任によって仕事ができなくなったときは、会社は労働者に60%以上の休業手当を支払わなければならないということです。 この2つの法律の条文は、会社の責任で労働者が働くことができなかった場合の賃金・休業手当について定めたものですが、内容・責任の内容・請求額が大きく異なります。 民法536条2項 労基法26条 内容 会社の「責に帰すべき事由」による休業の場合には、労働者は100%の賃金を請求することができる。 会社の「責に帰すべき事由」による休業の場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を請求することができる。 「責に帰すべき事由」の内容 故意・過失または信義則上これと同視すべき事由。 故意・過失がある場合だけではなく、会社側に起因する経営、管理上の障害を含む(ノースウエスト航空事件・最高裁S62.7.17)。不可抗力を主張しえないすべての事由を含む。 請求額 賃金100% 60%以上の休業手当 まず、民法536条2項は、会社の故意や過失などによって労働者が働くことができない場合に、労働者は100%の賃金を請求することができるというものです。 他方で、労働基準法26条は、会社に故意過失がある場合だけではなく、会社の不可抗力でない限り、会社が労働者に対して賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないというものです。労働者を保護するために、賃金よりも休業手当の方が広く保障されるのです。 南大阪法律事務所 —《 その他の法律相談事例 》— Q 2:パート労働者 休業手当を請求できるの? 新型コロナウイルスに関する労働相談の事例一覧
質問・概要
新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、会社が休みになりました。
会社が休みになっている間、給料や休業手当は支払ってもらえないのでしょうか。
解答・対応
会社が休みになった場合の給料や休業手当が支払われるかどうかは、
1.会社に故意や過失などがあれば、100%の賃金を請求することができる
2.会社に故意、過失がなくても、会社の不可抗力でなければ、60%以上の休業手当を請求することができる
3.会社の不可抗力による場合には、労働者は賃金・休業手当を請求することができない
ということになります。
以降のQ&Aで、できるだけわかりやすく解答しておりますので、該当される事例をご覧ください。
民法536条2項は、「債権者の責に帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。」と定めています。すなわち、
会社の責任によって仕事ができなくなったときは、労働者は会社に給料全額を請求することができるということです。
また、労働基準法26条は、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めています。すなわち、
会社の責任によって仕事ができなくなったときは、会社は労働者に60%以上の休業手当を支払わなければならないということです。
この2つの法律の条文は、会社の責任で労働者が働くことができなかった場合の賃金・休業手当について定めたものですが、内容・責任の内容・請求額が大きく異なります。
民法536条2項
労基法26条
内容
会社の「責に帰すべき事由」による休業の場合には、労働者は100%の賃金を請求することができる。
会社の「責に帰すべき事由」による休業の場合には、平均賃金の60%以上の休業手当を請求することができる。
「責に帰すべき事由」の内容
故意・過失または信義則上これと同視すべき事由。
故意・過失がある場合だけではなく、会社側に起因する経営、管理上の障害を含む(ノースウエスト航空事件・最高裁S62.7.17)。不可抗力を主張しえないすべての事由を含む。
請求額
賃金100%
60%以上の休業手当
まず、民法536条2項は、会社の故意や過失などによって労働者が働くことができない場合に、労働者は100%の賃金を請求することができるというものです。
他方で、労働基準法26条は、会社に故意過失がある場合だけではなく、会社の不可抗力でない限り、会社が労働者に対して賃金の60%以上の休業手当を支払わなければならないというものです。労働者を保護するために、賃金よりも休業手当の方が広く保障されるのです。
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