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2020年 12月7日 :
南大阪法律事務所 弁護士:西川 大史

忘年会にまつわる法律トラブル

例年であれば、忘年会のシーズン到来ですが、今年は、新型コロナウイルスの感染拡大により、いつものように忘年会を開いたり、参加したりできるのか、悩まれている方も多いのではないでしょうか。
忘年会にまつわる法律問題について紹介します。

忘年会

忘年会での新型コロナウイルス感染 会社の責任は?

Q:
従業員が、会社の忘年会で新型コロナウイルスに感染してしまった場合に、会社は責任を負うのでしょうか。

A:
会社は、従業員に対して、従業員の生命、身体などの安全を確保して労働することができるよう、必要な配慮をしなければなりません。これを安全配慮義務といいます。

新型コロナウイルス感染が拡大し、感染者数が増加しています。会社が忘年会を主催して、忘年会に参加した従業員が新型コロナウイルスに感染してしまった場合には、会社は安全配慮義務違反により、従業員に対して損害賠償責任などを負わなければならない可能性があります。

また、忘年会に参加した従業員が新型コロナウイルスに感染してしまった場合には、会社から指示を受けて忘年会を企画した従業員(いわゆる忘年会幹事)も、法的責任を追及されるおそれもあります。

忘年会の悩み

忘年会での新型コロナウイルス感染 労災になるの?

Q:
会社の忘年会で新型コロナウイルスに感染してしまった場合、労災申請することができるのでしょうか。

A:
労災を申請するには、業務上の負傷や疾病であることが必要です。そのため、まず忘年会が業務にあたる必要があります。業務時間外における任意参加の忘年会や、従業員同士の仲間内の忘年会であれば、業務とはいいにくいでしょう。他方で、会社が強制参加を命じているような忘年会や、会社が費用を負担している忘年会などであれば、忘年会も業務にあたる可能性があります。

次に、新型コロナウイルスの感染が、業務に起因することが必要です。感染経路が特定されて、業務が原因で感染したと認められれば、労災が認められます。もっとも、感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高い労働環境で業務に従事していたときには、業務により感染した蓋然性が高いとされ、労災が認められます。たとえば、同じ職場で2人以上の感染が確認された場合などです。

会社から参加を命じられた忘年会に参加した従業員の多数が、新型コロナウイルスに感染してしまった場合などは、労災が認められるのではないでしょうか。

忘年会を断りたい

新型コロナウイルス感染が怖いので、忘年会への参加を断りたい

Q:
会社が忘年会を企画しているのですが、新型コロナウイルス感染が怖いので、忘年会の参加を断りたいと思っています。忘年会への参加を断ってもいいのでしょうか。

A:
多くの会社では、忘年会への参加は任意参加のはずです。忘年会に参加するか、しないかは本人が決めることなので、忘年会への参加を断っても問題ありません。

では、従業員に対して、忘年会に強制参加を命じることはできるのでしょうか。仮に、忘年会が業務時間内に行われる場合には、会社は、従業員に対して業務命令として忘年会に強制参加させることも可能でしょう。しかし、忘年会が業務時間外に行われる場合には、従業員が参加するかどうかは自由です。ですので、取引先の接待など、業務上の必要性が高い場合などの例外的な場合を除いて、会社が業務時間外に開催される忘年会に、従業員を強制参加させることはできません。

なお、業務時間外の忘年会に強制参加を命じられた場合には、業務命令なので、残業代が発生することになります。

南大阪法律事務所 弁護士:西川 大史