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2024年 11月1日 :
南大阪法律事務所 弁護士:本田 千尋

2024年11月1日、フリーランス保護法が施行されました!

質問

業務委託として仕事を引き受けています。約束の期日を過ぎても、報酬が振り込まれていません。ただ、口約束となっていて、取引条件が明示された書面はありません。

フリーランス保護法が施行

回答

1 フリーランスやギグワーカーといった働き方が増えています。当事務所にも、報酬が支払われない、報酬が不当に減額された、ハラスメントを受けているなど、フリーランスに関するご相談が増えています。


 公正取引委員会、厚生労働省の共同実施による調査の結果によると、取引条件を明示されなかったことがあるとの回答の割合は44.6%であり、報酬が減額されたとの回答の割合28.1%報酬の額について、十分に協議を行わずに決定されたとの回答(つまり買いたたき行為)の割合は67.1%であったとのことです。割合が高い業種は①教育、学習支援業(85.9%)、②学術研究、専門・技術サービス業(75.6%)、③情報通信業(66.3%)となっています。
 フリーランスにかかわるトラブルは、発注事業者との間の「交渉力」や「情報収集力」の格差が背景にあると言われています。


2 そこで、2023年、「フリーランス保護法」(正式名称は「特定受託事業者にかかる取引の適正化等に関する法」が成立し、2024年11月1日より施行されました。

フリーランス保護法

フリーランス保護法の内容の一部をご紹介します。

(1) 委託事業者が「フリーランス」に対して業務委託する場合、

などの取引条件を明示しなければなりません。これは委託する事業者が「フリーランス」である場合にも義務付けがあります。
 つまり、「フリーランス」は委託事業者に対し、取引条件を書面等にて明示することを求めることができます。


(2) また、「従業員を使用する事業者」が「フリーランス」に業務委託する場合、発注した物品等を受け取った日から数えて60日以内に報酬を支払わなければならないこととなります。また、「フリーランス」の募集広告には、虚偽表示や誤解を与える表示をしてはならず、またその内容を正確かつ最新のものに保つ義務があります。
つまり、「従業員を使用する事業者」に対しては、60日以内に報酬を支払うよう求めることができます(もちろん、取引条件における支払期日が60日より短い場合は、その期間内に支払うよう求めることができます)。


(3) 加えて、「フリーランス」に1カ月以上の継続的業務委託契約を締結する場合、「フリーランス」に責任がないにもかかわらず、「報酬額の事後減額」「納品物の事後返金」「発注した物品等を受け取らない」などといった行為をすることが禁止されます。


(4) さらに、「フリーランス」に6カ月以上の継続的業務委託契約を締結する場合、原則として30日前に中途解除(契約不更新を含む)の予告をしなければなりませんし、解除理由の説明を求められればこれに応じる必要があります。


(5) ハラスメント行為により「フリーランス」の就業環境を害することのないよう相談対応のための体制整備その他の必要な措置を講じなければなりません。出産・育児・介護との両立のために必要な配慮をしなければなりません。


(6) なお、違反時は公正取引委員会が是正命令などを出し、従わない場合は50万円以下の罰金規定があります。


フリーランス保護法により取引条件を明示した書面を求めることができる

3 ご相談のように、口約束となっている取引についても、今後は取引条件を明示した書面を求めることができますし、書面があるほうが、支払期限が明確になります。

南大阪法律事務所 弁護士:本田 千尋